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「外部性」とか「収穫逓増」のような「市場の失敗」は「市場メカニズム」を |
大阪カトリック正義と平和協議会『いんふぉめぃしょん』No.136、 2000.12.20、 4-5頁。 |
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「市場メカニズム」が効率的であるためには「完全競争原理」が成立していなければならないことを前々回に指摘し、前回には「市場の失敗」がある限り「完全競争原理」は成立しないことを指摘しました。市場参加者の誰もが「価格受容者であり、完全な情報を有し、資源移動に制約があってはならない」訳ですが、このような想定と現実の営みとは正反対と言っていい位です
―
に上ります。“自然の供与している”外部経済、年間36兆ドル、は1998年の世界総生産(GWP)、40兆5000億ドル、にほぼ匹敵する額で、この他にも社会的、文化的、技術的、産業的
・・・なものもあるとすれば、内部経済よりも外部経済の方が格段に大きく、それらを未払いのままに収奪している者としていない者との格差が広がるのは当然です。(4)
しかし、水槽の中で魚を飼う時に許されないことが、なぜ経済行為の場合は許されるのでしょう
―
地球環境・人間社会とて同じ閉じた環境であるにも拘らず
―
そして各企業にとってプラスとに見えることは、全体としては破壊と汚染の大変なマイナスとなっているにも拘らず ―(5)。
伊藤光晴は次のように結論づけています
―「市場の自由な競争メカニズムが信頼できるのは、
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【註】 |
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伊藤光晴「日本の都市問題と現代資本主義」、伊藤光晴他編『現代都市政策』T、岩波書店、1972、p.38。 | |||||||||||||||||||
(2) |
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伊藤光晴「前掲論文」、p.37。 | |||||||||||||||||||
(3) |
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R.Costanza
et al., “The Value of the World's Ecosystem Services and Natural
Capital.” |
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(4) |
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「外部経済の収奪」は経済的収支バランスを合わせる以上の深刻な問題を孕んでいます。なぜなら2050年に100憶となる |
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(5) |
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西山俊彦「持続可能な開発原理の二律背反性と普遍的秩序(平和)構築原理としての不可欠性」 |
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(6) |
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伊藤光晴「前掲論文」、p.39。 |
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(7) |
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金子勝『反グローバリズム』岩波書店、1999、p.41。 |
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(8) |
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佐和隆光『漂流する資本主義』ダイヤモンド社、1999、p.110。 |
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(9) |
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佐和隆光『前掲書』、p.14。 |
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(10) |
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佐和隆光『資本主義の再定義』岩波書店、1995、p.46。 |
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(11) |
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佐和隆光『前掲書』、1999、p. 47。 |
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(12) |
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佐和隆光『前掲書』、1999、p.239。 |
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(13) |
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金子勝『前掲書』、p.41。 |
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(14) |
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佐和隆光『前掲書』、1999、pp.14-15。 |
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(15) |
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竹中平蔵『早いものが勝つ経済』PHP研究所、1998、pp.22-26。 |
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(16) |
佐和隆光『前掲書』、1999、p.14。 |
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(17) |
佐和隆光『前掲書』、1999、p.110。 |