西 山 俊 彦
7月19日(金)
13:15 AF364便が離陸態勢に入った。これは何だ、眼下にはうす汚い“マッチ箱”がビッシリ、世界に スラム多しといえどもハイチは首都ポート・オ・ブランスは格別、むせ返る。 入国手続きは割込み自由、注意も無意味、タカリがウヨウヨ、空港に銀行なし、いたることろに発砲自 由のトントンマクート、焼ける炎暑、日本大使館で戴いた久方ぶりのコーラが何と美味だったことか。 圧迫した雰囲気は21日に予定されている独裁者 J.C.デュバリエ大統領のレファレンダムがからんでいる らしい ―
7月20日(土) ハイチ とにかく電話もかからねば連絡もとれない。 今朝など面会を希望していたカブ・ハイチアンのガディヨー司教と対面して朝食を取り話し合っている のに名乗ることさえためらわれるらしい(グァテマラ、キューバ等多くの途上国でもそうだった)。 8:00 シスター須藤とサギノーの国立(結核)病院へ、ドイツ、日本の無償援助で建った病棟各2には まだ、電燈なし、薬品、備品の多くはカナダから……ハイチ人医師(6名)は登院せず、金になるとこ ろで仕事をしているとか……私をみると皆んな手を出す、お腹が空いているからだ。入院患者だけでな く病院職員まで手を出すのには、ただ驚嘆あるのみ――
サ ギ ノ ー
国立病院とは名ばかり… シスター方のご苦労がしのばれる
好転者 食事はマイスのこねたものにココナッツの汁 少量だから患者も職員も皆手を出してくる
ドイツのミゼレオールの援助でできた最初の病棟 しかし最近やっとこの電燈がついた
日本の無償援助病棟でSr.須藤の診察 備品・医薬品はカナダと日本のものが主だった
ポ ー ト・オ・ブ ラ ン ス
Sr.須藤の元患者婦人と、子供6人 数人は栄養不良で毛髪が脱色している カナダ・ロータリー・クラブが寄贈してくれた土間に住み、わずかばかりの黒砂糖を売る
15:00 最大の市場へ、 日本ならゴミダメに相当、 野菜の饐えた路上に古着を売る人、パンを売る人、空瓶2本を売る人も、…… 砂糖の山にはハエの山、悪臭プンプンのドブで体を洗う人もいた。…… とにかく暑い――
雨は天の恵み! このあたり、悪臭プンプンのドブ水で 行水していた
Cité Simon への道で …でもほんとうにひどいところは撮れなかった
(3) 群がるハエは写真では見えない!
(4) 食べもの、古着… そのまま地べたに並べて売る 空瓶2本を売っている人もいた
(6) 脇道は縦横に …
(7) 何を売り、何を買って行くのか。 産業不在の悲しみ
7月21日(日) 6:30−7:25 クレオル語のミサ拝聴、美しい。 10:20−12:10 ラジオ・ソレィユの責任者 H.トリエステ神父訪問、現実を伝え、民意向上を計ってきた が、今は妨害で殆んど放送不能、放送できずにきたレファレンダムについての「司教団声明」を読ませ て貰う、直後、スクゥート会司祭館に暴漢が押入り、神父重傷とのとの報、一時私が襲われたとの誤報 流れる。重傷だった A.DeSmeth神父(75歳)は一週間後に帰天――